052019.03

アスリートセカンドキャリアフォーラム



アスリートって、引退後どうしているの?

アスリート(スポーツ選手)の引退後のキャリアが問題視されている昨今。
指導者、飲食業の経営者など、狭義な選択肢になりがちな現状に問題提起するフォーラムが、3月5日に中ホールで行われました。
「九州スポーツ振興 アスリートセカンドキャリアフォーラム」を主催したのは、一般社団法人 日本アスリートライフサポーターズ協会(JALSA)。同団体は、アスリートのセカンドキャリア支援を始め、スポーツ振興やスポーツをキーワードに社会のあらゆる課題に挑戦していくことを目的に、2018年1月に設立されました。九州の関係者やメディアにアナウンスされたのもこの日が初めてで、会場は決起集会のような熱い雰囲気に包まれました。

フォーラムには、各界のトップアスリートが集結しました。
JALSAの笹川能孝会長が挨拶したあと、最初に登壇したのはアトランタ五輪ビーチバレー代表の高尾和行氏(春日シーキャッツ監督)とシドニー五輪銅メダリストの日下部基栄氏(福岡大女子柔道部監督)。世界大会を経験した2人は、その喜びと苦しみ、そして経験したからこそ感じたことについてトークを繰り広げました。

日下部氏は、シドニーから4年後のアテネ五輪で、柔道女子選手としてただ一人メダルを取れなかった経験について語り、「その時は大きな挫折を味わい、逃げるように柔道を辞めてしまいました。しかし、良いとき、ダメだったとき両方の気持ちを経験したことが、指導者になった今、とても役立っています。挫折はどんどんするべきだと思います。私も挫折でメンタルが強くなった分、ゆったりとした気持ちで第2の人生を過ごせています(笑)」と会場の笑いを誘いました。
また、高尾氏は今後のスポーツ振興について「スポーツに興味がない方に、どうやって楽しいと思ってもらえるのかが課題ですよね。イベントをしても、スポーツをやっている人や好きな人しか集まらないので、僕らが積極的に出向いたり、発信したりしていくことが大切だと感じています」と話し、大きな共感を得ていました。

続いて、特別講演を行ったのは、ハンドボールトップリーグ「GOLDENWOLVES」ジェネラルマネージャー(GM)の栗崎純一氏。ハンドボール選手だった栗崎氏は所属先を退所後、糸島でクラブチームを立ち上げ、GM兼監督に就任。所属選手全員が農業に従事して収入を確保しながら、スポーツでも一流を目指すというモデルプランを体現しているパイオニアです。
設立から3年でトップリーグ昇格も果たした「GOLDENWOLVES」。栗崎氏は「スカウティングはしていません。選手の中には将来に不安を持っている人が多く、農業をしながらプレイヤーとして大成するというプランに、魅力を感じているアスリートが多いということでもあります」と説明。アスリートが直面している厳しい現状に、斬新な解決策をもって切り込んでいる栗崎氏には、大きな拍手が送られました。

続いて、元ラグビー日本代表の三宅敬氏、元ソフトテニス国体福岡県代表でアンガーマネジメント講師の丸山啓太氏が、「アンガーマネジメント」をテーマにトークセッションを行いました。アンガーマネジメントとは、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングのこと。最近は、メンタル強化のために取り入れているアスリートも多いと聞いて、参加者も興味津々です。
丸山氏は「人はコントロールできないものに対して、イライラします。過去と他人は変えられません。スポーツ、特に団体競技では『なんでやらないんだろう』と考えるのではなく、どうやったら成長できるのかを考えるといいですよ」と心の持ちようをアドバイス。実生活にも生かせそうな思考方法は、今日からまねしたくなるものばかりでした。

三宅氏は「一つの目標が15人の選手を束ね、15の個性があつまり、どのチームも違うからこそ面白い。多能性を尊重したラグビーは学校教育にも置き換えらるスポーツだ」と話した。
「ラグビーでは国籍関係なく、その国で3年プレーした選手が代表権限を得られ日本代表では海外帰化選手の活躍も多く見られここにも多様性がある。ワールドカップ開催地の福岡で様々な文化や人が交わることを楽しんでもらいたい」とラグビーにおける教育の可能性と国際大会の楽しみ方を話してくれた。

最後に、スポーツ応援シンボルが登場。
元ミスユニバースの西内ひろさん、元LinQリーダーの天野なつさん、トキヲイキルのメンバーから岸田まゆさん、藤松宙愛さんが登壇し、「福岡から、スポーツを盛り上げていきます!!」と意気込みを語りました。

福岡は、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京五輪のキャンプ地、2021年世界水泳選手権と、国際大会やそれにまつわる諸活動が目白押しで、地域のスポーツ振興が進んでいくことが期待されています。それもあって、フォーラム後は、活動に協力したいと名乗り出た企業や自治体が複数あったそうです。
このようなフォーラムが定期的に開催されることが、アスリートのセカンドキャリアに多くの光が差し込む契機になるはずです。